>>を見上げて交わした誓い<<

□第2話


■[4月2日]



一日の始まりってどこか考えたことはある?




眼が覚めたとき?




それとも日付が変わったとき?




俺は・・・自分の存在を確認できたときかもしれない。



確認の仕方は人ぞれぞれだ。



瞼を開いて光を取り込む。



でも、それは夢を見てるだけかもしれない。



鏡を見れば自分の姿が映る。



でも、それはうわべだけの自分。



誰かが「自分」という仮面をかぶって映ってるだけかもしれない。



じゃぁどうするの?



簡単だよ。



『・・・て〜!・・・ってば〜・・・』



そう、こうやって自分以外の存在と会話すれば



『・・・ない・・・こうなったら・・・』



自ずと自分の存在をかくに・・・



沙希「えいっ!」



ズガンっ!

圭介「・・・!?」


痛い。あまりの痛みに声が出ない。

ようやく視界が戻ってきて目を開けてみるとそこには・・・黒電話をもった少女。


沙希「まだ起きないのかな・・・よーし・・・もう一回!」

圭介「ちょっ!起きて・・・」


沙希「えいっ!」

ズガンっ!

圭介「ぐはぁっ!」


繰り返し叩き込まれる強パンチが確実に俺のHPを削って・・・

ズガンっ!ズガンっ!

圭介「ちょ・・・冗談抜きでそろそろ・・・」

沙希「あれ・・・?うわわわ!血が出てるよケイくん〜!」


なんでこんなベタな展開・・・それとどこから黒電話を・・・。


バタっ。


沙希「ケイくん〜!」


-完-


ちょっとちょっと!まだ終わりじゃありませんよ!

ほら、しっかり!起きて起きて!


圭介「う・・・うぅん・・・」


沙希「あ、おはようケイくん♪」


圭介「(何事もなかったような振る舞い・・・やるな・・・)」

沙希「さ、ご飯作ったから早く食べよ♪」

圭介「(さっきの黒電話はどこに・・・っというか)」

圭介「なんで沙希がここに??」

沙希「あ、実は紀代おばあちゃんは朝は仕事があって忙しいから私にケイくんの朝のお世話をお願いされて・・・」

圭介「そういえばそんなこと言ってたような気もするな・・・悪いな」

沙希「じゃぁ向こうで待ってるね♪」

たたたっと駆けて部屋を出て行く。

圭介「朝から元気だなぁ・・・」

最初会った時、自転車のチェーンが外れて困ってたときとは大違いだなと思った。

人見知りが激しいのかな?っと思いつつ着替える。

圭介「っと・・・部屋着じゃないや」

春休みから学校モードにすぐに切り替わるはずがないということを体の習慣が物語っている。

圭介「特に転校してきて環境変わったしな」

今度こそ制服に着替えて沙希の待つ居間に向かった。



■隠岐見蔵島 風見家 居間


圭介「いただきます」

沙希「いただきます♪」

二人向かい合わせでいただきますをしてご飯を食べる。

メニューは典型的な和風仕立てだ。炊き立てご飯に味噌汁、味付け海苔に焼き魚に納豆という日本人の朝はと外国人に問えばこの品揃いがあげられるだろうメニューだ。

まず最初は味噌汁に口をつける。


ズズズッ・・・

沙希「どう・・・かな?」

圭介「・・・おぉ、美味い・・・」

沙希「やった〜口に合ってよかったよ♪」

見た目どおりの味でおいしい。転校初日の朝からいい気分で過ごせそうだ。


圭介「そういえば、ばあちゃんと知り合いだったんだな」

沙希「あ、うん。この辺りの人はみんな知り合いだよ♪特に紀代おばあちゃんにはお世話になってるし」

村というか田舎ならではって感じだな。島民みんな家族だ〜的なノリなんだろう。


ちなみにわかってると思うけど春休みも終わって今日からは学校だ。さっき沙希が言ってたようにばあちゃんは朝は仕事で忙しくて家事ができないから沙希に任せたそうだ。
今思えば春休みの間にも何度もいなくて勝手に朝ご飯つくったことあったっけ。

圭介「ふぅ、ごちそうさま。おいしかったよ」

沙希「お粗末様です♪じゃあ食器だけ洗っちゃうからちょっと待っててね」

圭介「あ、そんぐらい俺がやるよ」

沙希「いいのいいの♪私が頼まれたんだからちゃんと任務は果たしますであります!」

微妙に違和感のある軍隊チックな喋り方で喋る。ここは大人しく座っておくか・・・。


今日は始業式にはうってつけのいい天気だ。都会と違って空気は澄んでるしすごく涼しい。ボーっと縁側に座ってるだけも飽きなさそうだ。


沙希「ケイく〜ん?そろそろいくよ〜?」

ボーっとしていたらいつの間にか食器を洗い終えてつけてたエプロン外してすでに行く準備万端の沙希が後ろにいた。

圭介「あぁ、今行くよ」


今日から始まる学校生活。

朝からいきなり幼なじみが起こしに来るなんてこともあったけど

どうか無事に、

今日が終わりますように・・・。

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